【ライブレポート】水谷浩章 phonolite strings @ 新宿 Pit Inn

ライブ2本目 2017/01/26@Pit Inn

Personnel:
水谷浩章(B)梶谷裕子(Vla)平山織絵(Vc)須川崇志(Vc,B)ダレン・ムーア(Ds)田中邦和(Sax)類家心平(Tp)

他のバンドで水谷氏と類家氏を聴いたことがあったが、アンサンブルで一緒にやっているとは面白そうだと思いぶらりと行ってみた。3days の中日。
セカンドセットからで計6曲、大きく盛り上がるわけでもないけど、愛おしいクセのある選曲だったりハーモニーだったり仕掛けだったりをたくさん楽しませてもらった。

ちなみに水谷氏や phonolite について詳しくは OTOTOY の水谷浩章インタビューを読むことをおすすめしたい。ひととなりが見えておもしろい。

セットリスト

・Lonely Woman / Ornette Coleman 
・Straight up and down / Eric Dolphy
・Macho Woman / Ornette Coleman
・やもり / 水谷浩章
・Round Trip / Ornette Coleman

感想とか

1曲目はオーネット・コールマンのアルバム The Shape of Jazz to Come - 1959 の冒頭曲として知っている人は知っているフリージャズのさきがけとなった曲。
オーネットのバージョンではトランペットとテナーサックスという典型的なホーン構成にリズム隊がドラムとベースのみとヴォイシング役が不在。ドラムの神経質な刻みとホーンの開放的なサウンドによって奏でられるメロディは乖離して聴こえ、まことに緩い印象を与えるエキゾチックな本作であるが、水谷氏アレンジでも原作のイメージは残しており遅くて緩いイメージを持った。
ただし、メロディ面でルーズな役割を類家氏と田中氏が演じる点は言うまでもなく、ハーモニー面ではなぜかドラムのダレンムーアが率先して弦楽器のボウをシンバルの縁にあてて不協和音を作り出し、そこに残りの弦楽器メンバーも加わり、和声的にも緩い世界を作り出していた。

2曲目は原作エリック・ドルフィーの Straight up and down であるが、水谷氏が ONJO 用にアレンジしたものとのこと。野放しにされたメンバー達をベースのダイナミクスひとつで指揮していた水谷氏はすこし猛獣使いのようだった。

3曲目はまたオーネットの Macho Woman。Fast swing でベースが2台となり、須川氏がリズムチェンジでテンポを変えて遊んでいたのが印象的だった。

4曲目はオリジナルのやもりという曲。またスローテンポにもどり、トランペット類家氏十八番のサブトーンによってたっぷりと歌い上げられていた。

ラストはミディアムスイングでオーネットの Round trip。ベースのキューで戻るところがわかりやすく崩れていたが、MC の内容からもこのバンドの場合はそれでオッケーだという共通認識がすでにできあがっており、彼らの自由な雰囲気を会場全体で楽しんでいたように思う。

その後アンコールでブルースを演って終了。

関連動画

Lonly Woman/ Ornette Coleman
Straight up and down / Eric Dolphy
Macho Wonam / Ornette Coleman
Round trip / Ornette Coleman

関連 CD

学んだこと

いつも無計画に弄堂に行っていたが、香港屋台 九龍新宿店の角煮炒飯(少なめ)がライブ前フードとして最強だと気付けた。